ある誇大妄想狂はデザインを通じて世の中をもっともっと楽しくしようと考えています。とは言え、ケータイで、メールのみならず動画さえ送受信できる世の中、ネット上では個人が文字通り光速で世界中を駆け巡るのです。生半可な誇大さでは現実にすぐに追い越されてしまうかもしれない世の中になってきました。
"美"が与える感動は絶対的なものです。しかし決して特別なものではないことも多いはずです。意識すればありふれた日常の中にもいくらでも見出すことができるからです。陽が昇ったり、沈んだりするだけでも美しいのです。我々はそれらを観賞する喜びを知っています。何故それが美しいのか言葉で説明できずともそうした感情を持ち合わせています。しかし現代社会の中では、それらを知りながらもその感受性が無意識の領域に押しやられてしまいがちな状況は悲しいものです。個人によって勿論異なるかもしれませんが生活の喜びは至る所にあります。日々の仕事に追われ、ゆっくり食事をする暇もない人も多いことでしょう。日に3度の食事は味わわなくても栄養は摂取でき、生物としての用は足りますが、味わうほどに喜びは増すものです。
自分と身の回りのモノとの関わり方にも似たようなことが言えるかも知れません。お気に入りの洋服はその日一日の自分のムードを簡単に左右できたりするものです。あなたの気が付きさえすれば、家の中に存在するモノから与えられる喜びというのも決して小さいものではないはずです。今日、技術の進歩と産業の発展は目覚しく、身の回りはモノで溢れかえっています。しかし、あまりに生産効率優先で無関心に大量生産されたモノには表情が無いことが気掛かりでなりません。
そうした日常の中に表情あるユニークな商品を提供することによって、ユーザー個々の日々の生活に刺激と喜びと満足感を与えるため、またはそのきっかけづくりのためのものというコンセプトの下に立ち上げられたのがFOCAというプロジェクト=ブランドです。インテリア、生活雑貨を中心とした身の回りの商品を企画、生産、販売していきます。遊び心をもって素材を見つめ直し、経済性、社会性、倫理性などのフィルターを通しながら驚きとかユーモアに溢れた洗練されたデザインを試みるのがFOCAの方向性です。

2003.04
FOCA

 

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